フラクタルの問題の解答編の2番目ですです。
こちらは出題編の記事です。
問題
問題2:コッホ曲線(線の長さ)
[操作] 下の図のように辺ABを3等分する点C, DをAに近い方からとり、CDを辺とする正三角形のCD以外の頂点をEとします。そして、元の辺ABをA, C, E, D, B を結んでできる折れ線で置き換えます。ただし、点Eはいつも上側(外側)に取ります。
上の操作に従って、辺を折れ線で置き換える操作を繰り返して折れ線を作ります。
下の図は、辺ABに対して、この操作を2回繰り返した様子です。
次の問題に答えなさい。
- 辺ABの長さが 243 cmの時、操作を2回した後と3回した後の図形の辺の数と辺の長さを求めなさい。
- 折れ線の長さがはじめて1000をこえるのは、何回操作した後ですか。
- この操作をどんどん繰り返すと、この折れ線の長さはどうなりますか。増え方とどこまで増えるかの2つの点に着目して説明しなさい。
解答編2
1ばん
まずは、コッホ曲線について理解をしましょう。左と真ん中の図で考えると、辺ABを三等分した真ん中の辺CDを△ECDの辺CEと辺DEとを置き換えます。この操作によって、1つだった辺は4倍の4個になります。また、この3つの辺は、全て△ECDの辺なので、CD=CE=EDです。従って、この操作によって辺ABの長さは3分の4倍になります。
2回目以降について考えると、シェルピンスキーの三角形のと同じように、4つある各辺に対して、同じ操作をするので、それぞれの辺の数が4倍になり、それぞれの辺の長さが3分の4倍の長さになります。従って、全体としても、3分の4倍の長さになります。
問題は、辺ABの長さが 243 cmの時、操作を2回した後と3回した後の図形の辺の数と辺の長さを求めるので、243 cmに3分の4を2回、3回それぞれかければいいです。
(2回した後の辺の数)
1×4×4=16
(3回した後の辺の数)
16×4=64
(2回した後の辺の長さ)
243×4/3×4/3=27×4×4=432(cm)
(3回した後の辺の長さ)
432×4/3=144×4=576(cm)
A. 辺の数 2回した後 16, 3回した後 64
辺の長さ 2回した後 432cm, 3回した後 576cm
2ばん
1回操作するごとに3分の4倍に増えているので、33%くらいずつ増えていくイメージをして概算すると、576cm のあと、2〜3回で1000をこえそると言う見通しが立ちます。
そこで、計算してみましょう。
576×4/3×4/3=64×16=1024
結局、3回の後2回(合計5回)の操作で1000をこえたことになります。
A. 5回
3ばん
- 辺の長さは1回操作するごとに4/3倍になる。
- 操作を回数だけ4/3をかけるが、4/3>1なので、線の長さはどんどん長くなる。
まとめ
こちらの問題は、鳥取大学の2006年の入試の問題を参考に作りました。
とはいえ、1ばんと2ばんの問題は、図形の操作の規則性を理解すれば計算で求められるので、難しすぎることはないと思います。
さて、大学入試では、フラクタルの問題は最後の問題は極限を求める問題になります。この問題はあまり良くないのですが、長さも数も無限に大きくなります。
図形の大きさが大きく変わらないのに、図形を構成する線がどこまでも長くなると言うのは面白いですね。
3ばんでは、問題1で、意図的に避けられている「もっとたくさんの操作をしたらどうなるか考えること」を問題化してみましたが...答えについては、図形の作り方の規則性から、はっきり言えることにとどめます。無限の世界に引き込まれるには、小学生はまだ、早いです。
最後になりますが、7回操作したコッホ曲線を書いてみました(カラフルバージョン)。この解像度だと、やはりここが限界で、これ以上操作すると、線が潰れてわからなくなってしまいます。
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